チューリヒ大学AI研究室の元所長ロルフ・ファイファーが提示した概念。
AIが人間の知能に近づくためには、身体性が必要とされている。
「身体性とは、知能は常に身体を必要とするという考え方であり、正確に言えば、環境と相互作用することによって生じる振る舞いが観察できるような物理的実態を持つシステムだけが知能的である。」
(Rolf Pfeifer、Josh Bongard (2010) 『知能の原理』より)
歩行時に、路面との接触や重心を把握しながら筋肉の動きを調節したり、筋肉や健の働きによって物を掴むなど、人間の身体性は環境との相互作用と体で感じさせてくれる。
人間の脳と体は相互作用しながら知性を発揮する。
物理的な身体があり、周囲環境との相互作用を行うことによってはじめて、知能が構築できるという考え方。
身体性を持つAIを、身体性AI(Enbodied AI)という。
身体性AIの実現には、感覚と運動能力を持つ物理的な身体と、身体と周囲環境との相互作用が必要だと考えられている。
現段階でコンピュータは概念を記号としてしかとらえられないため、実現はまだ難しい。
環境を通じて知覚する情報をAIに取り込もうとする研究のひとつに、マルチモーダルAIがある。
また、チェスや囲碁などのゲームではAIが人間プレイヤーに勝利するようになってきており、身体性は必ず必要なのか? も論じられている。